2015.10.9茨木童子の写真徒然
曼珠沙華(彼岸花)
稲穂が揺れる畦道を散策。竹馬の友を失い通夜式でお別れをし、あくる日、写真が好きだった友を偲ぶため明日香へやってきた。葬儀式には出なかった。
明日香の空は青く一片の雲が里山に秋の訪れを感じさせる。まだまだ太陽の光は眩しく、汗ばんで軽やかに歩は進まないが、風に揺れる稲田に沿って曼珠沙華の赤い色が浮かび上がり、その景色に酔いしれる。しかしながら、青と黄と赤の景色を求めてなのか観光客も大勢来て、ちょっと不思議な感覚に陥る。
学生時代に友と歩いた景色も同じようだが、観光地ではなく長閑でもっと静かだった。石舞台にも囲いはなく、周りも全て稲田だったし、ゆっくりと里山の風景に身をゆだねることが出来たと思う。
フィルムカメラからデジタルに変わってしまったけれど、同じようにカメラを持って写真を撮りながら歩いたことが思い出されて、曼珠沙華の前でしゃがみ込み、シャッターを押しまくった。もう一緒に写真の話をすることは叶わないけれど、ファインダーの向うに彼がいるような気がして、静かにお別れをした。