茨木童子の写真徒然

2015.11.5茨木童子の写真徒然

水墨画の世界は突如として現れる


思わぬ景色に出会う事が有る。毎年この季節になると朝早く出かけるのが定例となっているのがゴルフのプロアマの撮影の仕事だ。寝ぼけ眼をこすりながらも4時半に起きて5時には家を出る。

昨晩からの雨は上がり、どうやらいい天気になりそうなので身体も気持ちも軽やかだ。道も然程混んでなく、約束の時間よりも早く着きそうで爽快に車を走らせていた。山あいに差し掛かる頃に霧が出てきたので、ペースダウンをしながらも時間前に無事到着した。

クラブハウスに入り、クライアントに挨拶を済ませてコースを見渡せるテラスへ出てみた。朝靄に霞むゴルフ場は薄暗いながら幻想的だ。ちょっと肌寒いが頬を撫でる風が心地よい。今日の段取りを思案しながら明けて行く空を眺めていた。

そこには息をのむような景色が突如として現れた。山あいに雲海が流れて赤みを帯びた西の空にまさに沈んで行こうとする月が寂しげに見えた。慌ててカメラを手にして、その日の最初のシャッターを押すことになった。

写真/茨木童子
趣味が高じて、商社を辞めて写専(日本写真映像専門学校)で写真を本格的に勉強。 卒業後スタジオ勤務。そこで、三越の販促写真などを撮影。その後、朝日放送などの記録写真やみんぱくなど文化施設の展示物の写真撮影及び施工写真に従事する。