童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

季刊絵本新聞「絵本とことば」よりほんの千夜一夜

2019.12.8ほんの千夜一夜

『子どもと本の心理学』

『子どもと本の心理学』
福沢周亮・編(大日本図書/現代心理学ブックス・1991年)

「本」あるいは「読むという行為そのもの」を心理学的にとらえた書籍です。
まず、「子どもの本とは何か?」に始まり、童話、幼年文学、絵本を中心に、その歩みが綴られています。
また、「物語はなぜ楽しいのか?」、そして、「子どもはその楽しさをどう表現するか」についてのまとめがあり、さらには、物語のさし絵、絵の効果、親子がどのように絵本を介したやりとりを行なっているかについての事例研究にまで話が及んでいくのです。
そして、最後に、学校教育における物語文の役割が論じられており、動画や写真という、ある意味で受け身のメディアから情報を得る時代に生きている現代人にこそ読んでいただきたい一冊といえます。

加藤映子 大坂女学院大学・短期大学 学長
大阪女学院短期大学卒業後、大阪YMCA勤務を経て、ボストン大学・ハーバード大学教育学大学院に学ぶ。ハーバード大学で教育学修士・教育学博士を取得。専門分野は言語習得・言語と文化・コンピュータを利用した教育。絵本読み聞かせ場面における母子のやりとりなど、「子どもとことば」を現在の研究課題としている。