童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

季刊絵本新聞「絵本とことば」よりほんの千夜一夜

2019.10.3ほんの千夜一夜

『0歳児がことばを獲得するとき-行動学からのアプローチ』


『0歳児がことばを獲得するとき-行動学からのアプローチ』
正高信男著(中公新書・1993年)

 私もこの新聞のコラム「ハルちゃんの軌跡」で、赤ちゃんがどのように発達するのかをまとめていますが、この書籍は、実験を元に、誕生からの赤ちゃんの行動を記したものです。
 たとえば、母親の声を聞き分ける実験では、母親と母親ではない女性の声に赤ちゃんがどのように反応するのかを、赤ちゃんが乳首を吸う頻度で計測するという方法が採られました。その結果、赤ちゃんは、お母さんの声をちゃんと聞き分けているということが判明しています。
 また、赤ちゃんがミルクを飲むのをやめると、母親は無意識に赤ちゃんを揺さぶります。実験では、その揺さぶりのタイミングを変えて赤ちゃんの反応を観察し、興味深い分析が行われているので、ぜひご一読ください。

加藤映子 大坂女学院大学・短期大学 学長
大阪女学院短期大学卒業後、大阪YMCA勤務を経て、ボストン大学・ハーバード大学教育学大学院に学ぶ。ハーバード大学で教育学修士・教育学博士を取得。専門分野は言語習得・言語と文化・コンピュータを利用した教育。絵本読み聞かせ場面における母子のやりとりなど、「子どもとことば」を現在の研究課題としている。