唱歌「夏は来ぬ」は「夏は絹」?
唱歌「夏は来ぬ」は「夏は絹」?
今年の5月であるのに真夏のような暑さで、北海道でも「夏日」だとニュースで報道していました。一挙に夏の到来を思わせました。
童謡・唱歌の会の5月の曲は、「夏は来ぬ」を選んで歌いました。
親から子 子から孫へ 歌い継ごう「日本の歌100選」には、この「夏は来ぬ」は入っていますが、今の音楽の教科書には載っていないそうです。
だから今の若い人は、「なつはこぬ」と読んで「夏はまだ来ない」と思うかもしれませんね。
この曲を歌うと、80年代に某化粧品のメーカーが出している「絹石鹸」のTVコマーシャル「夏は絹」を思い出します。
「♪夏は来(き)ぬ」と読み、「夏は来た」という過去形になりますが、パソコンなどで「きぬ」と打っても出て来(こ)ぬのです。
作詞の佐佐木信綱氏は歌人・国文学者。古今和歌集や万葉集、枕草子などに出てくる言葉が多用され文語詩ですから、若い人にはとっつきにくいかもしれません。かく言う我々も・・。
1番の歌詞に「忍び音」という言葉がでてきます。先日たまたま観たNHKの「にほんごであそぼう」で、「忍び音」とはホトトギスの鳴き声であることを知りました。
4番の歌詞の「楝(おうち)散る」はお家が台風で散る?
これも「楝」はセンダンの古名。昨年の大河ドラマ「花燃ゆ」で野山獄で吉田寅次郎(吉田松陰)が江戸に送られる場面で、高須久子が「おうちがー」と、そのあとに「センダン」と説明していました。
中之島の中央公会堂のそばの橋は「栴檀の木橋」ですね。
「五月」という字が2回出てきますが、2番の歌詞は五月雨(さみだれ)、5番は五月闇(さつきやみ)と読むのですが、日本語ってややこしいですね。
旧暦ですから、五月雨は6月の長雨です。5番は五月闇は、梅雨が降るころの夜の暗さ。暗闇に蛍が飛び交う情景を歌にしています。
このようなことが分かるのは、大人になってからです。格調高いこのような曲は、何度歌っても飽きることがありません。歌い続けたい名曲です。