山口朝子さんの絵と童謡
ふんふんさろんに「居場所」をみつけて、1年少し経ちました。
ふんふんさろんには、やはり童謡の情報がたくさんあり、関連するイベントも多く開催されています。
今年のゴールデンウィークに開催された山口朝子さんの「母と子の子守歌」展もその中のひとつ。
朝子さんのほっこりした童謡の原画に心動かされました。
北原白秋の「ゆりかごのうた」の愛情たっぷりの絵は、最も魅せられた作品です。
カナリアがビワの葉を嘴(くちばし)にくわえ、眠る赤ちゃんに風を送っています。
そして、木ねずみ(リス)が、ゆりかごの綱を揺すっています。
(HP「ダークおじさんと童謡の世界」バナーの絵)
先月、大阪市鶴見区でたくさんの大人たちと一緒に、地域の3つの保育園の園児たちが参加して、「みんなで歌う童謡唱歌の会」を行いました。
会場の皆さんに、朝子さんの「おうま」「ぞうさん」「夕焼け小焼け」などの絵を1枚1枚、大きく投影してご覧いただきながら、それぞれの童謡を歌いました。
園児たちが元気いっぱい大きな声で歌う姿をに大人たちがびっくり。
先生方が、保育の時間にしっかり童謡を歌っておられるのでしょう。
「♪ないしょ話」「♪ふたぁつ」の絵も印象に残る絵です。
この2曲は作詞 結城よしを/作曲 山口保治のコンビの作品。歌っていると、朝子さんがこの曲を選ばれた気持ちが分かる気がしました。
詞と曲が私たちの気持ちを優しくあたたかく包んでくれます。
会場の中に、今年も子どもたちと一緒に歌われておられる溝口正治さんの姿を見つけました。
マイクを向けると、
目をうるませて、(子どもたちの歌うのを見ると)「平和だと思います」と、ただひとこと。
溝口さんは今年90歳、特攻隊員だったそうです。ジャワ島駐屯の時に終戦を迎えたと、昨年伺いました。
詩人結城よしをさんも、昭和16年に軍隊に召集されましたが、厳しい軍務のかたわら好きな童謡を作り、父親のもとへ送っていたそうです。しかし、3年後ニューギニアに渡り、24歳の若さで亡くなっています。
どれだけ無念であったことでしょう。
戦後70年、朝子さんの絵を見ながら思いを馳せています。
いろいろ考えさせられた今年の夏でした。