ダークおじさんと童謡
≪貧しい子も 金持ちの子も みんな同じ≫
12月に入って、たくさんのクリスマスソングを歌いました。
その中の1曲、♪真っ赤なお鼻のトナカイさんは・・で始まる「♪赤鼻のトナカイ」。
これとは別に、こんな詞が存在していたのをご存知ですか?
町は賑やか 明かりがついた
飾りもできたし 歌声もする
おいしいお菓子を子どもらは食べ
サンタクロースのおみやげを待つ
親のない子もイエス様は
守ってくれる 元気を出して
貧しい子も 金持ちの子も
みんな同じよ お祝いしましょ
「親のない子も貧しい子も、金持ちの子も皆同じだ」という歌詞のレコードも出ていたそうです。
小学生時代、クラスメイトに学校の近くの児童養護施設から通う子が2・3人いました。
自分の身内にも父親を戦争で亡くした従兄もいたのです。
戦後まもなく、クリスマスという行事が日本中に流行りだした頃に、このような歌詞で歌われた「赤鼻のトナカイ」の歌で勇気づけられた子どもたちがきっといたはずです。
親がいない彼らがどれほど淋しかったのか、今なら痛いほど分かる気がします。
≪残された母と子に対する優しい目≫
童謡伝道師の一人として、「♪おうま」「♪ぞうさん」「♪ないしょ話」「♪肩たたき」など、各所で歌っていますが、時には、「♪ぞうさん」を歌うときは、「ぞうさんぞうさん 誰が好きなの」のあとに、あえて、「あのね 母さんも父さんも好きなのよー」と、父さんのところを強調して歌ってください!と、ジョークのつもりでお願いすることさえありました。
確かに、父親の出てくる童謡・唱歌は少なく、男として妬ましく思うときもありました。
林 柳波、まど・みちお、結城よしを、西條八十ら多くの詩人は、恐らく、父親が戦争に出兵して、残された母親とその子どものために書いたのかもしれないと、最近つくづく思うようになったのです。
童謡は、優しさあふれる歌。愛情あふれる歌だと思います。そう思うと、とんでもないことをしたと反省しています。これからは、素直に元の歌詞のまま歌おうと誓ったのです。
翻って、今の社会はどうでしょうか?
私たち大人たちが、子どもたちには向ける目は優しいでしょうかー。
写真1は、みんなで童謡を歌う会(2015.12.24)
写真2は、生涯学習ルーム「歌声ひろば」(2015.12.26)