童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

ダークおじさんと童謡の世界

2015.10.13ダークおじさん

みんなで唱ったあの童謡 いろはかるた



い 山田のなかの一本足の案山子・・
ろ どんぐりころころ どんぶりこ・・
は 柱のきずは おととしの・・

手描きの絵札と読み札です。絵を見るだけでそれぞれの童謡が出てきます。
作られたのは河内長野市の島本貴子さん。島本さんは、大阪市の公立中学校の家庭科の先生でしたが、絵を描くのがご趣味で、イラストレーター河村立司氏に師事し、さらに似顔絵作家、風刺漫画家、山藤章二氏「似顔絵塾」の特待生だったそうです。



童謡を「いろはかるた」にされたと、連絡があり早速見せていただきました。
いろは48文字にそれぞれ童謡の絵が描かれています。歌いだしや題に当てはまらないから、「い」は、いっぽん足の~「い」ですし、「ろ」は、どんりくころころ~の「ろ」なんですが、これもなかなか楽しいのです。
お借りして「ふんふんさろん」の方々にお見せすると、童謡かるたの中に、「ふしぎなポケット」「おなかのへるうた」「サッちゃん」「あめふりくまさん」などの新しい童謡も描かれていて、絵札を見ながら皆さんすぐに声に出して歌われました。

小学4年生の孫が学校で「百人一首大会」があるというので、和歌を諳(そら)んじていましたが、こちらは平安時代末から 鎌倉時代前期のもの。片や、「いろはかるた」 は、江戸中期に京都で作られ、大阪、名古屋、江戸に広がったといわれていますが、今の子どもたちは、百人一首は習っても、いろはかるたは知っているでしょうか?

い 犬も歩けば棒に当たる
ろ 論より証拠
は 花より団子
地方によって文言は変わっていますが、我々世代も怪しいものです。

さて、「童謡」は大正時代に生まれ、昭和になってラジオやレコードの普及で広がりましたが、テレビの出現や生活環境の変化、音楽環境の変化などで、「童謡は消えてしまった」という声も聞かれて久しくなりますが、果たしてそうでしょうか?

平成の今、確かに学校で童謡は習わなくなりましたが、童謡で育った世代の人たちが郷愁とともに歌い始めているという手ごたえを感じています。
全国組織の団体が各地で童謡の講習会や発表会を積極的に展開されています。自治体においても公民館などで、「童謡」をテーマに主催事業として取り上げています。

何よりも、今はこうしてwebになって配信していますが、「童謡伝道マガジンふんふん」が毎月1万8千部を7年間の発行されたことは、大きな成果をあげたと言っても過言ではありません。

私も機会あるごとに、子ども支援センターや童謡を歌う集まりに保育園の子どもたちやお母さんらを招き、一緒に歌っています。
先日の会で、誰でも知っていると思っていた「しゃぼん玉」を知らないというお母さんに出会いました。
「肩たたき」も
♪母さんお肩をたたきましょう 
 タントンタントン タントントントンと5フレーズ続きますが、それぞれが同じメロディーだと思っていたという元保育園の先生にもいて、驚いてしまいました。
でも、初めて歌ったというお二人、「童謡っていいですね。好きになりました」と、嬉しそうに言って帰られました。

今度は、この新しい童謡のアイテム「童謡いろはかるた」を使って、子どもたちと歌ってみることにしましょうか。

可愛い絵と味わいのある読み札の文字、そして新しい童謡も取り上げておられた島本さんに御年を伺うと、今年84歳とお聞きし驚きました。こちらはまだ若輩60代、童謡の普及にまだまだ頑張らなきゃー!と、島本さんのお宅を後にしました。

文/ダークおじさん 筒井幹夫(65)
学生時代は、グリークラブ(男声合唱団)に所属。卒業後、青少年育成専門団体に携わり、学校キャンプ、ファミリーキャンプを担当する。ここで、歌が大きな力になることを体験する。
現在、ふんふんさろんシニアスタッフ。大阪童謡くらぶ会員、歌声喫茶ピープルズリーダー。