舌切雀
優しいお爺さんと欲張りなお婆さんが住んでいました。お爺さんは雀の子を大事に育てていました。
ある日、お爺さんが山へ柴刈りに出かけました。お婆さんは洗濯をしようと、糊を作りました。そしてほかの用事をしていると、雀が糊を見つけ、食べてしまいました。
気づいたお婆さんは、雀の舌をはさみで切ってしまいました。雀は泣きながら山のほうへ飛んでいきました。
家に戻ったお爺さんはかわいそうに思い雀を探しに出かけました。
「雀、雀、お宿はどこだ」
お爺さんはあちこちの山を越えて、歩き回りました。
すると、かわいい歌が聞こえてきました。
「ちっちっち ちっちっち こっちでござる」
舌を切られた雀が友達も連れて現れました。雀たちの屋敷でお爺さんは、ご馳走になり、雀たちの歌や踊りのもてなしを受けました。
「お婆さんが心配するといけないから、そろそろお暇しましょう」
そういうと、雀たちはお土産に大きなつづらと小さなつづらを持って来ていいました。
「お爺さんどちらがいいですか?」
「わしも年じゃから小さいほうをもらいます」
家に着いて、つづらを開けると、小判がいっぱい入っていました。それを見たお婆さんは、
「私が大きなつづらをもらってくるわ」
と、雀のお宿に出かけました。お婆さんは、ご馳走も、ささっと食べて、歌や踊りはいらないといい、お土産は大きなつづらをもらって帰ることにしました。
しかし、大きなつづらはとても重くて山を越えるに越えられません。お婆さんは山の中でどうにもできないつづらを開けますと、中からは、妖怪や虫や蜂や蛇がわんさか出てきました。お婆さんは妖怪に食べられてしまいました。