挨拶がきらいな王さま 後編
~前編のあらすじ~
王様は、朝起きてから、夜寝るまで、挨拶、挨拶のされどおし。
「いつもと同じ挨拶なんか、しなくていい」
王様は大臣たちに命令して、挨拶をしたものを牢屋に入れることにしました。
牛乳配達のジャックは、パン屋のおじさんに「おはようございます」と言い、二人とも、つかまってしまいました。そして牢屋はいっぱいになりました。
王様は大喜び。すると、楽しそうな歌声が牢屋の中からしました。王様は一緒に歌いたくなってきました。
♪地球が来るんと回ったら おはようって朝が来る♪
いかんいかん。わしは挨拶が嫌いじゃった。挨拶の歌を、歌うなんて、とんでもない。
王様は急いで、牢屋から逃げ出しました。そして町に出てみました。町にはだあれもいません。
「おおい、みんな、どうしたのじゃ」
※ここから後編の始まりはじまり。
すると、小さな男の子が出てきて言いました。
「みんな黙ってるんだよ。牢屋へ入れられないようにね」
「ううむ」
王様はうなりました。男の子はすぐに家の中へ入ってしまいました。
王様はまた一人ぼっちです。
「挨拶をなくしたくらいでどうしたというのじゃ」
王様はお城に帰ると、一番初めに牢屋に入れられたジャックに会いました。
「おまえは、なぜ挨拶が好きなのだ?」
「だって、挨拶をしないと気持ちが悪いでしょ」
パン屋のおじさんも言いました。
「王様、挨拶は人々が仲良くなるためにはなくてはならないものだと思います」
「ううむ、その通りだ。挨拶がなくなったら人々はみんなばらばらになり、町もいいんとしてしまうことが分かった」
王様は、すぐにみんなを牢屋から出しました。
そして、この国は挨拶が飛びかって、ずっと笑い声のあふれる楽しい国になりました。
『挨拶がきらいな王さま』は、ずっと、子どもたちに読まれてきた、もり・けんの代表作。
「小学どうとく2」(日本文芸出版、光村図書の教科書)に載っています。
漢字は大人用にしています。