たべものだいすきおうさまシリーズ③ まるさんかくしかく
昔、ある国に食べることが何より好きな王様がいました。王様は、ある日、もっと珍しい食べ物はないかと、考えました。
「そうじゃ、腕のいいコックを見つけにでかけよう。皆の者、たびにでるぞ」
さあ、大変!
「王様のお供は……」
「お荷物は……」
家来たちは、てんてこまいです。
元気のないのは、元のコックのルンルンさんです。
用意ができて「しゅっぱーつ」
道みち、王様は、胸わくわく。
「さて……と。どんなコックが見つかるやら。どんな食べ物に会えるやら……」
始めについた国は「まんまる国」
まんまる国は、山も湖もお城もまんまる。通された広間もまんまる、王様も、家来もまんまる。
まんまる国で一番腕のいいコック、サークルさんが、得意の料理を運んできました。
あら! あら! あら!
テーブルも、お皿も、まんまる。
丸いおだんご、まるいおみかん、まるいドーナツ、まるいお好み焼き、まるい目玉焼き、まるいハンバーグ、みんなまるいのです。
「ぱくぱくむしゃむしゃ、ぺろりんフーム」
なんと丸い味。王様はコックのサークルさんを自分の国に来るように頼みました。
王様が次に訪ねた国は「さんかく国」
さんかく国は、山も湖もお城もさんかく。通された広間もさんかく、王様も、家来もさんかく。
さんかく国で一番腕のいいコック、トライアングルさんが、得意の料理を運んできました。
あら! あら! あら!
テーブルも、お皿も、さんかく。
さんかくのサンドウィッチ。さんかくのおにぎり、さんかくのこんにゃく、さんかくの餃子、さんかくのパン、みんなさんかくなのです。
「ぱくぱくむしゃむしゃ、ぺろりんフーム」
なんと、さんかくな味。王様はコックのトライアングルさんを自分の国に来るように頼みました。
さて、次についた国は「しかく国」
しかく国は、山も湖もお城もしかく。通された広間もしかく、王様も、王子様もしかく。
しかく国で一番腕のいいコック、スクエアさんが、得意の料理を運んできました。
あら! あら! あら!
テーブルも、お皿も、しかく。
しかくのおとうふ、しかくのお寿司、しかくのぱん、しかくのお餅、みんな、しかくなのです。
「ぱくぱくむしゃむしゃ、ぺろりんフーム」
なんと、しかくい味。王様はコックのスクエアさんを自分の国に来るように頼みました。
王様は、三人のコックさんを連れてお城に帰りました。
その日は王様のお誕生日でした。
「素晴らしいバースデイケーキを作ってくれー。コンテストじゃ。優勝したものには褒美をとらせるぞ」
ケーキ作りが始まりました。三人のコックはそれぞれ、丸いケーキ、三角のケーキ、四角のケーキを作りました。もともとこの国のコックである、ルンルンさんも自慢のケーキを作りました。
王様の誕生祝の席に、丸いケーキ、三角のケーキ、四角いケーキが並びました。そこにルンルンさんがケーキを運んできました。
キラキラのゼリーいっぱいのケーキ、四角も、三角も、丸も、ゼリーの中にキラキラ輝いていました。
これはいい。いいぞ。
王様は、ルンルンさんを優勝と決めました。
王様のお誕生日のお祝いには、丸いケーキ、三角のケーキ、四角のケーキ、そして丸も三角も四角もあるケーキを囲んで、賑やかに開催されました。
* 私が今から37年前、32歳の時に作った絵本。当時、私はひかりのくにの編集部に居ました。残念ながら、もう絶版になっていますが、私の宝物のお話です。
この「たべものだいすき王様シリーズ」は3個出ていて、①あいうえお、②1,2,3、③まる〇さんかく△しかく□と続きました。
アマゾンや古本屋さんで手に入るかもわかりませんね。
次回は②1,2,3のお話です。