挨拶がきらいな王さま 前編
「王様、おはようございます」
「王様、こんにちは」
「王様、こんばんは」
「王様、おやすみなさい」
王様は、朝起きてから、夜寝るまで、挨拶、挨拶のされどおしです。
「ええい、うるさい。いつもと同じ挨拶なんか、しなくていいのだ」
王様は大臣たちに命令して、国中に、お触れを出しました。
今日からこの国では挨拶を禁止する
挨拶をしたものは牢屋に入れる
王様
さあ、国中が、大騒ぎです。
ある朝のことです。牛乳配達のジャックは、パン屋のおじさんに、
「おはようございます」
と言ってしまいました。
「おはよう、ジャック。きみの挨拶を聞くと、いい気持だね」
パン屋のおじさんが言いました。そのときです。
「こら、今、挨拶をしていたな」
役人がとんできました。
「王様の命令だ。二人とも牢屋に入れてやる」
二人は、つかまってしまいました。
そしてその後に、たくさんの人がつかまり、牢屋はいっぱいになりました。
「ははは~愉快、愉快!」
王様はこれを見て大喜び。
すると、どこからか楽しそうな歌声が聞こえてきました。
それは、牢屋の中からでした。
王様は、牢屋に向かいました。王様は一緒に歌いたくなってきました。
♪
地球が来るんと回ったら
おはようって朝が来る
お日様連れて朝が来る
おはようおはよう
やあおはよう
いかんいかん。わしは挨拶が嫌いじゃった。挨拶の歌を、歌うなんて、とんでもない。
王様は急いで、牢屋の傍から逃げ出しました。
王様は町に出てみました。
ところが、町にはだあれもいません。
「おおい、みんな、どうしたのじゃ」
※後編に続きます。お楽しみに。
『挨拶がきらいな王さま』は、ずっと、子どもたちに読まれてきた、もり・けんの代表作。
「小学どうとく2」(日本文芸出版、光村図書の教科書)に載っています。
早く結末が知りたい人は、3年生以上の子どもに聞いてみてください。