2019.1.1今夜のお話なあに
初詣・お正月飾り
昔々、親孝行の一人息子がいました。
息子の家は貧しいので、昼の間は近くの村に出稼ぎにいく毎日でした。夜には自分の食べ物を持って帰り、父母に食べてもらうほどの孝行息子でした。
息子がある大晦日の夜更けに、棺を背負って歩いてくるお爺さんを見かけました。わけを聞くと、
「たった一人の孫が死んでしまい、その息子を弔いに行くのだよ。わしは貧乏人だから手伝ってくれる人もありゃあしない」
と言いました。
孝行息子は、お爺さんの代わりに棺を担いでやることにしました。
しばらく歩いていると、お爺さんの姿が急に消えてしまいました。息子は、棺を持ったまま、どうしたらいいのかと途方に暮れてしまいました。
息子は仕方なく、棺を担いだまま自分の家に帰ることにしました。
家で待っていた父母に今までのことを話し、棺の蓋を開けて見ると、そこには大判、小判がいっぱい詰まっていたのです。これはきっと、神様からの贈り物だと思いました。
さっそく、隣近所の皆さんを呼んでお祝いをし、お礼参りに神様の居られる神社に初詣にいったそうです。
孝行息子と父母は大金持ちになり、それからは幸せに暮らしました。
正月の元旦に、初詣に出かける前、橙黄赤白の色紙で仏壇やカマドを飾るのは、その孝行息子のお話から始まったと言われています。