干支の話
昔々の、ある年の暮れのこと。神様が動物たちにいいました。
「元日の朝、新年の挨拶に来ること。一番早く来た者から十二番目の者までは、順に一年の間、動物の大将とする」
猫は行けなかったので、鼠に聞きました。鼠はわざと一日遅れの日を教えました。
さて、元日の朝です。牛は歩くのが遅いので、まだ暗いうちに出発しました。これを見ていた鼠は、ぽんと牛の背中に飛び乗りました。牛が神様の御殿に着きました。まだ誰も来ていません。喜んで待っていると門が開きました。鼠はすかさず牛の背中から飛び込み、一番になりました。牛は二番になったのです。
その時、虎は、素早く駆け込みました。兎は、寝過ごして、その次になりました。竜は、神様の頭の上から降りるのは失礼だと思って迷っていました。蛇は、木を降りるのに時間がかかりました。馬は、早足でやって来ましたが、みんなが列になっていたので止まってしまいました。羊は、迷い迷い、行きました。猿は、馬に乗って行く途中、ずるいと怒られ、蹴飛ばされてしまいました。鶏は、一番の早起きですが、自分の鳴き声でみんなを起こしてしまったのです。犬は、印をあちこちに付けながら行きました。猪は、まっすぐにしか走れなくて、曲り道などでいったん止まり、時間がかかってしまいました。
猫は、家で寝ていました。
こうして、鼠、牛、虎、兎、竜、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪の順になりました。
猫は鼠のいうとおり二日の朝と思ってきませんでした。だから猫は鼠を恨んで、今でも姿を見ると追い回すのだそうです。