童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

今夜のお話なあに

2017.7.4今夜のお話なあに

織姫と彦星

七夕のお話 織姫と彦星

 昔々、天の川のすぐそばに織姫が住んでいました。織姫は、とても美しい姫で、衣を織るのが仕事でした。
 川の反対側には、彦星が住んでいました。彦星は、牛を飼うのが仕事でした。
 二人ともよく働くので天帝は、二人を結婚させたら、働き者のいい子ができると思いました。
 ある日のこと、天帝は彦星を呼んで言いました。
「川の向こうに行くがよい。そうすれば素晴らしい姫に出会うことだろう」
 彦星は、舟で向こう岸に行きました。そして織姫に会うことができました。彦星は織姫に出会ったとたん、この姫を好きだとおもいました。織姫も同じでした。
 その日も次の日も、彦星は天の川を渡って織姫に会いに行きました。二人はますます仲良くなり、お互いの仕事のことなど、すっかり忘れてしまいました。
 二人の様子を見ていた天帝は怒り狂いました。
「仕事をほっぽり出して、デートとはけしからん! 今後一切、会うことはならん」
 天帝は、織姫と彦星を天の川の両岸に引き裂いてしまいました。
 織姫は一日中泣いていました。彦星も仕事が手につきません。
 しばらくしてこの様子を見た天帝は、二人をかわいそうに思いました。
「一年に一度だけ、七月七日の夜には会っていいことにする。その代わり、しっかり仕事するようにな」
 二人は仕事に励みました。
 織姫は、一生懸命、布を織りました。七月七日を指折り数えながら、
「その日に雨が降りませんように」
と祈りました。
 雨が降ると、天の川に水があふれて、舟が出せなくなるからでした。
 彦星も一生懸命仕事をして、その日が来るのを待ちました。
 そして待ちに待った、七月七日の夜になりました。
 美しい星空の中を、天の川を彦星が小舟に乗って来ました。織姫と彦星は、会うことができました。
 いつの頃からか、織姫と彦星が一年に一度会えるように、笹飾りをするようになりました。そして一人ひとりの願いも短冊に書いて天の神様にお願いをするようになりました。

文/もり・けん
1951年大阪市生まれ。
長年勤めた幼児教育出版社を
43歳で退社し、モンゴルに渡る。
自然に添うように生きる遊牧の暮らしを学び帰国。以後モンゴルの正しい理解と亡くしてしまった日本の心を取り戻せと訴え続ける。

日本の童謡の普及のため、作詞(新しい童謡の創作)、演奏(昔からある良い童謡の伝承)の両面で展開、全国各地を講演、ハーモニカによるコンサート活動は海外にも及びモンゴルを始めロシア、中国、北欧のフィンランドやスウェーデンなどの子供たちとも交流している。

文部科学省の財団法人すぎのこ文化振興財団の環境ミュージカル「緑の星」をはじめビクター「ふしぎの国のアリス」などを発表、絵本、童話、童謡など子供のための創作活動をしている。

現在、日本音楽著作権協会会員、日本童謡協会会員、詩人、ミュージカル作家、作詞家、ハーモニカ奏者。梅花女子大学、朝日カルチャーセンター、読売文化センター、ヤマハ音楽教室などの講師を勤める。