新しい扉の向こうには
新学期といえば、新しいクラスに新しい先生、そして新しい教科書。息子の時も娘の時も、小学校1年生の教科書は、たしか私が名前を書きました。1冊1冊、ひらがなで名前を書きながら、子どもの成長にジーンとしたのを思い出します。
今は自営ですが、大学卒業後の就職先は、教科書を作っている出版社でした。教科書部門とは別に、一般の書籍を作る出版部門があり、そちらに配属になりました。残念ながら、この会社は今はもうありませんが、ヒットを飛ばす派手さは無いものの、実直にいい仕事をする出版社であったと誇りに思っています。
社会人としての自分を育ててくれたこの会社で、仕事の基本を一から教わりました。飛び上がるくらい嬉しいことも、涙も声もでないくらいショックなことも経験しました。
編集技術を身につけるのは簡単な事ではなく、何度も校正したはずなのに見落としがあったり、目次と実際のページが合っていなかったり。締め切りに追われてヘロヘロになることもしょっちゅうでした。
それでも、仕事を辞めたいと思うことなく続けられたのは、周りの先輩方のさりげないバックアップと、仕事先の方々の励ましがあったからだと思います。
生意気で使いにくい部下だったと思いますが、よくぞ投げ出さずに鍛えてくださったと、当時の上司であったS課長には、あらためて感謝の思いです。
出版部から編集部に異動になり、道徳副読本の編集に携わったのも、最初はいやいやでしたが今となっては懐かしく、あの経験が役に立ったと思うことも多々あります。仕事って、本当に何がプラスになるかわかりません。
今の仕事、今の出逢いが、次に何を呼んでくるのか―
ワクワクしながら、新しい扉を開いてみたい気がします。