童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

とんぼの眼鏡

2015.12.8新着とんぼの眼鏡

クリスマスには贈り物

昭和の時代、田舎町で育った女の子には、クリスマスは特別なものでした。
日頃はおねだりすることなどできない両親に、欲しいものを言えるのはお誕生日だけ。ただ残念なことに、自分の欲しいものを言っても、父が気に入らなければ買ってはもらえない。でも、クリスマスは違います。サンタさんにお願いするのですから、自由に欲しいものを頼むことができました。

サンタさんは、時に違うものを贈ってくる時がありましたが、おおむね望みを叶えてくれます。年に1度しかない貴重なチャンス。さあ、何をお願いしようか…。
12月に入ると、もう頭の中はそのことばかり。クリスマスが近づくと、お願いした物がちゃんと届くか気になり、何度も心の中でお祈りして、プレゼントの届くのを待ちました。

写真の中には、本当に嬉しそうに人形を抱えた女の子。欲しくて欲しくてたまらなかったお人形。何度も遊んだ大切な友(人形)は、古びても大人になっても捨てられず、実家の押し入れで静かに眠っていました。

女の子はやがて大人になり、母になり…お人形は、長い長い眠りの後、女の子の娘の遊び相手として復活しました。楽しそうに遊ぶ娘の姿に自分を重ねるうち、決して裕福では無かったけれど、守られ育まれ、あたたかな思いで過ごしていた子ども時代を思い起こすことができました。

物は物でしかないかもしれません。でも、そこには思い出や優しさや嬉しさを一緒に込めることもできるのです。

クリスマスには贈り物。
サンタさんから、たくさんの笑顔の贈り物をもらった大人たち。
次はあなたの番です。

文/坪内美樹
兵庫県生まれ。神戸大学教育学部卒業後、大阪書籍株式会社に入社。
単行本の企画・編集および小・中学生用の道徳副読本の編集に携わる。

独立後、フリーのトーキング・プランナーとして書籍や社内報の企画・編集、 NHK「くらしの経済」「ちょっといい旅」等のTV番組リポーター、 ABC「探偵!ナイトスクープ」「クイズ仕事人」等のTV番組制作ブレーンを務める。
現在は、コミュニケーションをテーマとし、講師・司会・コーディネーターなどで活動中。

自身の出身地・兵庫県豊岡市日高町の「兵庫ひだか名誉大使」を務める。
独立行政法人文化財研究所外部評価委員(平成12年度~17年度)

◆坪内美樹のGood Luckブログ
http://ameblo.jp/ukiukiwakuwaku-smile/