耳を澄ませば、リズムが聴こえる
暑い夏、暑い奈良で開催される熱~いコンサート、今年で43回目を迎えた「わたぼうし音楽祭」に伺ってきました。
このコンサートは、障害を持った方々が書かれた詩に曲を付け、ステージで発表するというもの。詩だけの応募もあれば、最初から曲も付けて応募される作品もあり、総数は600点を超えると伺いました。ステージでは、最終選考に残った8曲が披露されました。
厳選された作品は、どれもこれも、あたたかなパワーを感じるものばかり。言葉の一つ一つが胸にぐっとくることも多く、障害を受け入れ、乗り越え、時には楽しむ…そんなたくましさに心を打たれ、そこにたどり着くまでの多くの涙や努力に思いをはせながら、聴き入っておりました。
「障害があることは、時に不便ではあるけれど、不幸だとは思わない」
仕事を始めて間もない頃、取材をさせていただいた、ある障害をお持ちの方から聴かされた言葉です。「不便なこともあるから、助けてもらえるとありがたいけれど、かわいそうだと思われると、それは違うのよね」と、淡々と、でもはっきりと語るその方に、自分の先入観を打ち砕かれた瞬間でした。
おかげさまで、何かつらいこと、困ったことがあった時に「苦しいけれど不幸じゃない」と自分に言い聴かせて乗り越えてきました。あらためて、色々な出逢いが自分を助けてくれていると感じます。
昨年出版した『ハッピーボイス健康法~声から広がるコミュニケーション』(あいり出版)の中に、朗読用のテキストとして、障害を持った方が書かれた詩を7篇、掲載させていただきました。何度も読み返したお気に入りの詩で、少しでも多くの方に知って欲しいと選びました。言葉の持つ力を、強く感じる詩ばかりです。
「わたぼうし音楽祭」に伺ってみて、とにかく皆さん明るく、笑顔が強く印象に残りました。熱気と同時に、心があたたかくなる、優しさあふれる時間を共有することができました。フィナーレの曲を一緒に歌いながら、こんなに心の中で「ありがとう!」を連呼したのは初めてかも。
出逢いは、本当に嬉しくて、かけがえのないもの。来年も、伺いますね!