冬景色
尋常小学唱歌(五)に掲載されました。作者はわかっていませんが、なかなかの名詩だと私は思います。普通五七調の詩が多いのですが、この詩は六五調になっていて珍しいのですね。
一番は冬の朝の湖畔の様子、二番は昼間の山畑の様子、三番は夕べの里の様子を時間順に連に分けて、詩に表していますが、文語体の解釈がむつかしいですね。
*簡単に解説をしておきましょう。
「げに」は、「いかにも」
「小春日」は、初冬の暖かく穏やかな晴れの日。
「のどけし」は、穏やかな日和で、のどかな様子。
「かへり咲き」は、桜や梅などの花が小春日和に誘われて時期外れに咲くこと。
「雲は落ち」は、雲が低く垂れ込めていること。
三番の意味はこうです。「日暮れと悪天候が重なって、真っ暗になってしまいました。そのために、里の集落もほとんど見えなくなってしまいました。もしも、家の明かりが漏れていなければ、家々があるとはわからなかっただろうな」
そして、この作曲も素晴らしいと私は思います。
ドミソ、ソシレ、ドレミファソ、ラソファミレ、ミレド、ミレドシドというように、基本の和音を連続してうまく配置をしているところ、そしてその単純な音階の中で里山の風景を情感をこめて表現できているところに、私は感動を覚えます。
作者が不祥というのは知りたい気持ちがわきますが、研究者が調べてもわからないのだから仕方ないですね。
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